まよらなブログ

24章3話。



「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


先週お休みして申し訳ありません。
今週も、体がだるかったり、ドラクエ7をプレイしたりで、
「更新できるのか・・・?」と思ってましたが、書けました。

キリン戦に入りますが、キリンの技の
『桎梏のダンス』と『劈く嘶き』をどう読むのか知りませんでした。
桎梏は「しっこく」で、『人の行動を 厳しく制限して自由を束縛するもの』の意味、
(「桎」は足かせ、「梏」は手かせの意)
劈くは「つんざく」、だと今、ネットで調べて知りました。また一つ賢くなったYO!


それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。


24章3話
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 開戦は突然だった。麒麟は『アルゴー』に向かって、一吼えする。武器こそ抜いていたとはいえ、星術の器具も展開しておらず、弩の照準も合わせていない一行に、麒麟から炎がほとばしった。消し炭にされることも一瞬覚悟したが、炎が通り過ぎた後は髪が焦げた(もしくは髭が焦げた)程度の焦げ臭い匂いしか残っていない。スハイルが「ぴーーッ!?」と大げさに鳴いて、煙の出ている尾羽を振って消火に努めている。
「・・・・・・た・・・大して強くないのかな・・・」
 アヴィーが思わず呟いたが、そんなわけあるかよ、とマルカブは返事をし剣の切っ先を麒麟に向けて床を蹴る。真っ直ぐ一線の動きで、切っ先は麒麟の目を狙ったが、その特徴的な角に弾かれた。
 剣と角がぶつかる澄んだ音が響く。その音にアヴィーは意識を改めて、肩と背中の星術の器具を展開した。背中の器具が翼のように開いて、肩に乗せた器具が低い音を立てて稼働する。見えないエーテルが、アヴィーの元へ圧縮されていく。
 麒麟はマルカブの剣を弾いた後に、前足をカツカツと踏みならしだした。助走の前の、動作。
「・・・・・・、気をつけて!突進してくる・・・かも!」
 カリーナは仲間にそう告げ、エーテルの圧縮をしているアヴィーと弩の脚を出し床に立てたディスケの前に出て、剣を構えた。スハイルが「ぴよーッッ!」と鳴いて、カリーナの隣に陣取って翼を広げる。
 カリーナの予想通り、麒麟は一行に向かって来た。軽やかな脚の音は、ダンスのリズムのようだった。だが、雷光を纏った体は小さくない。その体にぶつかって無傷で済むものではない。
 クー・シーが麒麟の脚に鎚を投げつけ、その足取りを狂わせた。続けてディスケが重い矢弾を放ち、麒麟の走りを遮った。麒麟の速度は落ち、一行の間を走り抜け、そして方向を転換してもう一度『アルゴー』に向き直った。
 麒麟が止まったその瞬間を狙い、アヴィーが圧縮したエーテルを氷に変換して放とうとした。・・・が、麒麟のつんざくような嘶きが、アヴィーの鼓膜を振るわせた。アヴィーの視界がぐらりと揺らぐ。
「・・・・・・、ああれ?」
 目が見えないわけではない。視界が霞んだわけでもない。認識がうまくできない。集中が切れて、エーテルは霧散した。
「どうした、アヴィー!」
 返事をしようとしたが、口もうまく回らない。クー・シーが駆けてきて、アヴィーの目をのぞき込んだ。
「・・・頭を封じられたかね。・・・治療するから、時間を稼いでおくれ!」
 クー・シーはそう仲間たちに告げて、治療を始める。
「・・・催眠か幻惑を使うのかな・・・。」
 カリーナが剣を構えながら呟いた。スハイルがその隣で、ぷるぷると
頭を振って、
「ぴよッ!!」
 と気合いを入れたかと思うと、麒麟に向かって羽ばたいて、その角に飛びついた。そして、ゲートキーパーにそうしたように、サイミンフクロウ特有の低く深く響く音で「ホウホウ」と鳴きだした。麒麟相手に催眠の技をかけようとしているのだが、麒麟はそのスハイルを頭の一振りで振り払った。
 振り落とされたスハイルを、麒麟の脚が蹴り飛ばそうとし・・・、その脚をディスケの矢弾が弾く。スハイルの真横を、麒麟はその鋭い爪持つ脚をで踏み抜いた。弩に次弾を装填するディスケに視線を移した麒麟の真横を走り抜けるようにして、マルカブが麒麟の目の下に剣先で一線の傷を付けた。とはいえ、マルカブの狙いは麒麟に傷をつけることではない。自分の真横に鋭く降ろされた脚を見て、ぶるぶる震えだしたスハイルをその場から引き離すことだ。マルカブは走り抜けながら、スハイルの尾羽に剣の鞘を引っかけて、スハイルをすくい上げる。スハイルは、ぶらーん、と逆さ吊りになりながらも、麒麟から離された。無茶すんな、とマルカブは言いながら、スハイルを肩に乗せ、鞘を腰帯に差し込んだ。
「・・・・・・、ぴーーーーーッッ!!」
「分かった!でも、今は泣くな!泣くなら後でだ!」
 肩で泣き始めたスハイルに、マルカブはそう言って、剣先を麒麟に向ける。剣の先に麒麟。その麒麟の向こうにカリーナ、そしてそのさらに向こうにディスケがいる。
 ・・・この場所は、ディスケの弩の軌道に重なってしまう。
 そう判断して、麒麟に攻撃しながら移動しようとしたときだ。麒麟の方が先に動いた。跳躍して、カリーナも飛び越えて、ディスケに向かう。
「・・・っと、タンマ!!」
 思わず、そう口走りながらディスケはろくに照準も合わせずに弩を発射。矢弾は麒麟を逸れて、天井に突き刺さった。ディスケの前に無傷で降りた麒麟は、その尾を振るう。まるでカミソリのような鋭さで、尾はディスケを切りつけた。
「・・・!クー・シー!ディスケが・・・!」
 カリーナがアヴィーの治療を終えようとしているクー・シーに声をかけたが、「大丈夫だ!」とディスケが止める。尾に切りつけられた傷自体は、深くはなかった。ディスケは矢弾を装填していない弩を、棍棒代わりに麒麟に振るう。・・・と、その腕に、麒麟の尾の一房が絡まった。
 これが、麒麟の狙いだ。・・・と気づいた時には遅かった。その尾の一房がディスケの腕を締め上げる。思わず弩を床に落とし、派手な音が鳴り響いた。ぴーぴー泣いていたスハイルが、ぴたりと泣きやんで「ぴぴぴ!?」と叫ぶ程度には、派手な音が鳴り響いた。
 弩が床に落ちるのと同時に、麒麟が跳躍して一行から距離をとる。カリーナがディスケに駆け寄って、ディスケの右腕を見た。
 麒麟の尾の毛が一本、その腕に巻き付いてディスケの腕を締め上げている。それを引きちぎろうとしたカリーナの指に鋭い痛みが走った。
 見ると指に一本、切り傷が出来ている。毛は金属糸のように固く、引っ張れば自分の指の方が切れるらしい。
「・・・、麒麟が!」
 クー・シーの治療が終わり、視界も口も正常に戻ったアヴィーの声を
聞き、麒麟に視線を移す。麒麟の周囲に、炎が宿った。最初に使った技だろうか。ならば、威力も大したことはない・・・・・・
 そして、麒麟は一吼えとともに炎を放った。
 ・・・威力も大したことはない・・・・・・・・・なんてことはない!
 炎ではなく、炎に宿るエーテルを見たアヴィーの背中に、電流のような悪寒が走り、とっさに氷の術を炎に向かって放つ。アヴィーの氷も飲み込んで、炎は一行を包み込んだ。近くにいる子どもを大人が・・・つまり、ディスケがカリーナを、クー・シーはアヴィーを、マルカブがスハイルを、背中に庇った。それは、最初に放たれた炎よりも熱も威力も格段に上で、致命傷にこそならないものの一行に傷を与え、体力を奪っていく。
「・・・・・・ディスケ!無茶しないで!ディスケの方が怪我してる!私がディスケを庇うつもりだったのに!」
 炎が通り過ぎた後、カリーナはディスケに抗議した。ディスケは苦笑し、
「・・・普通に考えて、それはないだろーよー。おにーさん、泣いちゃうよー。」
 と、いつも通りに言うのだが、腕も締め上げられる中、その声は苦しげだ。カリーナは懇願するようにクー・シーに視線を向けたが、クー・シーの側にいるアヴィーがその視線に気付いて首を振った。クー・シーはアヴィーを庇って負傷しており、ディスケの治療に走るためにまずは自分の治療が必要のようだった。クー・シーは己を治療しつつ、カリーナの視線に気づいてディスケを見る。一瞬、手を止めかけた。このまま自分の治療をするか、ディスケを診るか、迷ったのだ。
「・・・・・・、クー爺はそのまま治療!」
 迷いはマルカブの声が止めた。
「カリーナはディスケに応急処置!切れるなら、腕の毛も切ってやれ!アヴィーはエーテル圧縮!」
 それぞれが今出来ることを確認して、指示通りに動き出す。
「ぴよーぴん!ぴぴ!ぴぴ!」
 スハイルがマルカブの肩で、自分にも指示がほしい、と喚く。ずっと前に同じようなやりとりをディスケとした既視感を、マルカブは抱きながら、肩に向かって怒鳴りつけた。
「お前は泣かない!」
「ぴーーーッ!!!」
 泣いてないピヨ!と主張しながら、スハイルは麒麟をキッと睨みつけた。(迫力などはないが。)もらった指示には従うつもりらしい。
 麒麟は、四肢に力を込めている。威風堂々と立つ姿は、何かを待っているようだ。攻撃してくる気配もないが・・・、何かとてもイヤな予感をスハイルは抱く。
 スハイルは、自分が停まっている肩が動いたことに気づいた。マルカブが剣先を目線と同じ高さまで上げて、剣を地面から水平に構える。そのまま飛び込み、踏み込みと同時に剣先を突き出すつもりだ・・・と、そこまでスハイルは読んだ。そして、その通りにするべくマルカブは地面を蹴った。体の移動も剣の移動も、全て一本の線上にある。そこに速さも乗せるので、それは弾丸のようでもあった。
 麒麟は避けない。避ける動作もしない。攻撃を受けるために、待っている。
 ・・・・・・今、攻撃させては、ダメだ!
 マルカブが踏み込んだ瞬間に、スハイルは甲高い声で鳴いた。マルカブは、ぎょっとしてその切っ先をわずかに揺らした。切っ先は上を向き、麒麟の鼻先を掠める。その剣先の先に、じりっ!と音を立てて火花が散った。麒麟の体から、パリパリと雷があふれている。
 剣を差し込んだら、感電する。
 マルカブの背中に汗が流れ、彼は自ら転んで自分の突進の動きを止める。スハイルが肩から落ちて、地面を転がった。マルカブは前転するようにして勢いを殺し、やっぱり前転するようにして転がったスハイルを片腕ですくい上げながら立ち上がり、麒麟から間を取った。転がる羽目になったスハイルが、マルカブを蹴りつけた。
「ぴーーーーッッッッ!!」
「怒るなよ。それから、助かった。ありがとな。」
「ぴよ!ぴよーぴん、ぴぴ、ぴぴぴよ、ぴー!」
「『おとーさんは、ぼくがいないと、だめだピヨ!』って言われとるよー。」
 治療の合間にスハイルの言葉をクー・シーは訳し、マルカブはスハイルの頭をぎぎぎ・・・!と握りしめながら、再び肩に停める。いつもの気の抜けたやりとりをしながらも、視線は麒麟から逸らさない。
 そして、麒麟の体から溢れるように出る雷が徐々に増えていることに気が付くのだ。
「・・・・・・雷が来る!」
 アヴィーがエーテルの動きを読んで、そう、叫んだ。麒麟の体から溢れた雷は収束し、『アルゴー』を撃つ。それこそ、神罰であるかのように、鋭く打ち据えたが、威力は消して高くはなかった。
 しかし、その雷は麒麟の毛に落ちた瞬間、倍増した。
「・・・・・・・・・ッ!!」
 ディスケの右腕に巻き付いた麒麟の毛・・・麒麟の体の一部が火花を散らして弾け飛んだ。ディスケの腕に激しい雷が走り、ディスケは身をよじって倒れ込んだ。
「ディスケ!!」
 カリーナがディスケを抱き起こそうとして、周囲に漂う焦げ臭い匂いに気が付いて眉を寄せた。麒麟から放たれた雷は、ディスケの腕に巻き付いていた尾の一房を通して激しい電流となったらしい。そして、その電流はディスケの腕を灼いたのだ。焦げ臭い匂いは、真っ黒に焦げた右の袖の下から漂ってくる。肉の焼ける匂い。
「・・・・・・ディスケ!」
 カリーナの声にディスケは薄く目を開けて、「勘弁してほしいよなあ・・・」と呻くのだが、顔中に脂汗がびっしりと浮かんでいる。クー・シーが自分の治療も途中で投げ出して、ディスケの元に駆けてきた。
 マルカブ(とスハイル)とアヴィーが、麒麟からディスケを庇うようにその前に駆けてきた。
「・・・アヴィー、・・・麒麟の弱点はありそうか・・・?」
「氷の術の効きが弱いんだ。・・・麒麟は雷を帯びてるから雷の技は効かないと思う。炎も使うから・・・、弱点なら氷だと思ったんだけど・・・」
 マルカブとアヴィーが並びながら、会話をする。麒麟はまた脚を踏みならし始めている。
 『アルゴー』の攻撃の要は、アヴィーの星術とディスケの弩だ。アヴィーの星術の効きが今一つであるなら、ディスケの弩こそ頼みの綱なのだが。
 ・・・その射手が倒れている。
 その事実に、マルカブは奥歯を噛んだ。


(24章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

ゲーム上では眼鏡バリよりプリ子の方が体力あるので、
眼鏡バリがプリ子を庇うのは「おかしいよなあ」と思って書いたりもする。

報いの炎→桎梏のダンス→劈く嘶き(黒ゾディの頭封じ)→
テイルボンテージ(バリの腕封じ)→報いの炎→帝王の誇り→神罰・・・
・・・という麒麟の攻撃のつもりです。

縛り技というのは、書きにくくて困ります。頭縛りってどういう状態になってるんだよ・・・。

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