まよらなブログ

25章4話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


・・・もしかして、この章を書いたら、
第一部ラストに向かって一気に駆け降りるだけなのではないか、と
そんな気がしてきたが、気のせいのような気もしてきたZE☆


・・・・・・・・・もう一度、ちゃんと構成を立て直してから駆け降りようと思いますが、
そんな気がしてくる程度には、書いてきたのも事実なんですよね・・・・・・・・・

そろそろ第二部の準備を始めるため、ゲームを再プレイしなきゃな・・・・・・。
裏ボスも倒さないとなー・・・、あと世界樹4の闇竜と裏ボスを倒さないとなー・・・・・・




それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



25章4話
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 風邪が治ったものの、大事をとってもう一日休むように言われたカリーナとアヴィーは、宿を抜け出し樹海の入り口までやってきていた。二人ともしっかり装備くぉ整えている。
「・・・ねえ、カリーナ。本当に、マルカブに黙って来ちゃっていいのかな。」
 アヴィーがおずおずと問いかけた。
「後できっと怒られるよう・・・。」
「アヴィー。出てくる前に、黙って行こうって言ったでしょう?」
「そうだけど・・・」
「話をしたとおり、あの【断罪の間】にいたフカビト・・・オランピアはフカビトの【真祖】って言ってたけど・・・。『あれ』は相手の記憶が覗けるみたいなの。・・・私、マルカブに、妹さんと別れたときのことを思い出してほしくない。」
「・・・僕も、マルカブに嫌な思い出を思い出してほしくないよ。でも・・・。」
「・・・もし、アヴィーにも思い出したくない記憶があるなら・・・、ここで待ってて。私、アヴィーにも怖い想いをさせたくないし・・・。」
「それはもっとダメだよう!僕も行く!」
 アヴィーはばたばた腕を振って、そう言った。そう言った後で、自信がなさそうに呟いた。
「・・・でも、こんなの・・・。カリーナらしくないよ・・・?」
「・・・・・・・・・、私らしいのって?」
「・・・うまく言えないけど・・・こんな危ないこと、いつものカリーナはしないと思うんだよ・・・。」
 アヴィーの呟きに、カリーナはくっと唇を噛んだ。
「・・・付いてこなくてもいんだよ、アヴィー。」
「だから、それはもっとダメなんだよう!もう、いいよ!一緒に行くよ!僕もフカビトと話をしたいんだし!」
 アヴィーは拗ねた様子でぷいっとそっぽを向いた。ごめんね、とカリーナは囁いたが、拗ねたアヴィーからは返事はなかった。だから、カリーナはそれ以上は言わなかった。でも、心の中で続ける。
 ・・・ごめんね、私も分かってるの。
 マルカブがディスケの見舞いに行っている隙に、荷物から鍵を持ち出して、アヴィーと二人だけでフカビトに会いに行く本当の理由。マルカブに、彼の妹と引き離されたときのことを無理矢理思い出させたくない・・・のだが、本当の理由はその先だ。
 ・・・その時のことを思い出したら、マルカブは妹さんを捜しに行くかもしれない・・・。
 だから、彼にその時のことを思い出させたくない。恐怖の記憶を引きずり出されて傷つかせたくもない。それも真実。だが、彼をどこにも行かせたくもないのも真実。妹に再会させてあげたい、と思うのも真実だが、自分たちのことだけを心配していてほしいのも真実だった。そんな自分勝手さにアヴィーを巻き込んでいる自覚もあった。
 アヴィーにも黙って、一人で来れば良かった。今更、そんな後悔をする。
 アヴィーを巻き込んでいる自覚はあったので、彼をせめて危険な目に合わせないようにしよう。カリーナはそう頷いて、顔を上げた。
 カリーナには、必ず彼女に付いてくる者がいる。「リョウガン。」と、その相手の名前を呼んだ。一拍の間を空けて、リョウガンが木から降りてきて、カリーナから1メートル離れた辺り跪いた。アヴィーは、わあ、と驚きの声を上げる。
「・・・リョウガン、一緒に来てくれる?」
 カリーナは、命令とも頼みともつかない様子でリョウガンに告げた。リョウガンは顔を上げた。
「・・・これ以上、お二人で進まれるのなら、そう進言させていただこうと思っていました。」
「・・・ごめんなさい。いつもは、カリーナとしての探索には付いてこないでもらっているのに。」
「・・・『アルゴー』の仲間がいれば、姫の護衛も十分でしょう。」
 そう言いながら、リョウガンは立ち上がる。眉を寄せて、カリーナに厳しく言った。
「・・・しかし、たった二人で行かせるわけにはいきません。出来れば、お考えを改めていただきたい。樹海へは『アルゴー』の仲間たちと共に、お進みください。」
「・・・アヴィーに言ったこと、聞いていたでしょう?私、このまま行くつもり。」
 リョウガンは「・・・マルカブにとっては、二人だけで樹海に向かわれたことこそ恐怖になるかと思いますが。」と淡々と意見した。カリーナは唇をへの字に曲げ、アヴィーは「僕もそう思うよう・・・」と同意した。・・・確かにそうかもしれない。フカビトに会いに行ってくる、と書いた置き手紙にマルカブが気が付いたら、どれだけ心配をするだろう。でも、それを、リョウガンに指摘されるのは正直気に入らなかった。
「・・・いいんです。貴方はただ、付いてきなさい。」
 カリーナは不機嫌さを隠しもしないでそう言い、リョウガンは「お止め出来ないようなので、そうさせていただきます。」と答えた。アヴィーはおろおろと二人を見やってから、
「・・・カリーナ、どうしたの?いつもはそんな言い方しないのに・・・。リョウガンに、付いてきてって、お願いしたのは僕た・・・」
 アヴィーの言葉はリョウガンによって止められた。
「姫のご命令だ。私は従うだけだ。」
 何か言いたげなアヴィーを無視して、カリーナは「行こう。」と樹海磁軸へと歩き出した。アヴィーは慌てて進もうとし、
「・・・姫のことは気にするな。」
 リョウガンの囁き声に気が付いて、彼を見上げた。カリーナの背を視線で追うリョウガンを見てから、アヴィーはしょんぼりと視線を落とす。
「・・・でも、いつものカリーナはあんな言い方しないんだよ・・・。もっと優しいんだよ。」
 知っている、と答えてリョウガンは歩き出す。アヴィーは慌ててそれを追った。
「・・・気にするな。全てはマルカブのせいなのだから。」
 リョウガンがそう言ったのを聞いて、アヴィーは不思議そうに首を傾げた。


*****


 宿のドアノブに手をかけたマルカブは、大きなクシャミをした。
「・・・あー・・・、ガキどもの風邪がうつったかな・・・。」
「ぴよーぴん、ぴよ、ぴぴよ!?ぴぴよ!?」
 肩にとまっているスハイルが(ディスケの家から付いてきたのだ)、マルカブの額に翼をつけて熱を計るフリをした。この数日、マルカブがカリーナとアヴィーを看病したり、コロネがディスケを看病している様子を見て、真似をしたがっているのだ。
「ぴーー・・・」
「・・・熱がなくてガッカリしただろ、お前。」
 マルカブは、露骨に残念がっているスハイルにそう言いながら、ドアを開けた。部屋には、そろそろ暇を持て余し始める子どもたちがいて、探索に行きたいだの遊びに行きたいだの言い始める・・・と思ったが、
 ――、部屋には誰もいなかった。
「ぴぴーぴ?」
 スハイルがベッドまで飛んでいき、きょろきょろと周囲を見回し、
「ぴぴーぴ?」
 床に降りて、ベッドの下に潜り込んでみる。マルカブはテーブルの上に置き手紙が置かれていることに気づいて、それを広げた。ざっと一読みして、
「・・・・・・・・・、あいつら、二人だけで何する気だ・・・!?」
 そう呟いたマルカブは手紙を丸めて、剣と荷物を取って部屋から飛び出した。ベッド下を確かめていたスハイルが、ぴーーー!!と鳴いてそれを追った。


*****

 カリーナたちは、鍵を使って以前にも訪れた灼熱の部屋、地下10階の【断罪の間】に足を踏み入れる。そこには以前と同じように、人に似て、そして非なる生物が三人を見つめていた。
「誰かと思えばお前たちか・・・」
 一人は見たことがないがな、と例のしゃがれた声でそう告げるフカビト。より正確には、フカビトの【真祖】。リョウガンが苦無を抜き、臨戦態勢を見せた。しかし【真祖】は、それを面白そうに見つめるだけだった。戦う気はないようだった。
「またここに来るとは・・・。僕と話をしたくてきたのか? 物好きな連中だな・・・。」
 そう告げて笑う【真祖】だったが、不意に何か思い出したように真剣な表情を浮かべた。
「フカビトにとって人は餌。 逆に人にとっては脅威であろう。されど・・・それだけであろうか?」
 問いかけと言うよりも呟きだった。もしくは、自問。目の前にいる三人ではなく、遠い誰かに問いかけているような声。
 フカビトの真祖は、視線を三人に戻す。・・・より詳細に言うなら、カリーナを見た。カリーナは、びくっと身を竦ませたが、今度は恐怖の記憶を覗かれることもなかった。
「・・・僕は昔、一人の少女と出会った。フカビトの真祖たる僕を恐れず声をかけてくる子とね・・・。」
 【真祖】の目は異様な紅さを見せるが、柔らかいように感じられた。
 もしかしたら、『コレ』は私たちと変わらないのかもしれない・・・?とカリーナは胸を押さえる。【真祖】はカリーナの仕草には気づかずに、視線を少し厳しくさせて問いかけた。
「・・・さて、聞こう人の仔らよ。人とフカビトが理解し合う事・・・友となる事はできるであろうか?」
 まるで地の底から響くようなしゃがれた割れる声が、驚くべき内容の問いを告げてくる。アヴィーとカリーナは顔を見合わせた。
「君は、僕たちと友達になりたいの?」
 アヴィーが単刀直入に聞く。【真祖】は、おかしそうに笑った。
「お前も物怖じしないのだな。人の仔は皆そうなのか?」
「・・・だって、そういうことでしょう?」
 アヴィーの問いかけに、【真祖】は、どうだろうな、と呟いた。アヴィーは不満そうに頬を膨らませた後で、
「僕は、出来ると思うよ。フカビトと友達になることも。・・・だって、出来るって思わなきゃ出来ない・・・・・・、ううん、逆だな。出来ないって思ったら友達になれないもん。・・・僕のエトリアの友達は、そうやってモリビトと仲直りしようって頑張ってる。だから、僕は、出来ないって言えないよ。」
 そうか、とフカビトの【真祖】は答え、カリーナを見た。カリーナはおずおずと頷いた。
「わ、私は・・・、私も、そう思う。・・・人間同士だって理解し合うことって難しいし・・・国や民族や肌の色や身分で差別もするけど・・・」
 言いながら、自分が今ここにいることは何という奇跡の上に成り立っているのだろう、とカリーナは胸を震わせた。
 実際のところ、どんなに親しいアヴィーでもどれだけ慕っているマルカブでも、本当に理解し合っているかは分からない。マルカブもアヴィーもてんで分かっていないときもある。だが、彼らは『仲間』だ。褐色の肌を持つアル・ジルを初めて見たときどう思ったか?だが、今は大事な友人だ。自分を暗殺にきたリョウガンは、今や自分の臣下である。
 人同士だって理解し合うことは難しく、先入観や軋轢がそれを邪魔する。だが、それでも、歩み寄っていけるのだ。
 カリーナには友も臣下も仲間も出来た。今や、家族のように受け入れてくれる人もいる。国にいたら、そんなことはなかった。国にいた時は、自分にそんな存在が出来るとも思わなかった。それを奇跡とするならば、答えは決まっていた。人同士の場合でも、フカビトと人でも、一つの答えしか口にはできない。それ以外を口にしたら、この街で起きた奇跡のようなものを否定することになる。
 カリーナは、リョウガンに苦無を下ろすように告げた。カリーナとしても意外だったが、リョウガンはあっさりとそれに従った。多分、彼は分かっているのだ。カリーナが何を答えるか。そして、その答えと武器は相容れないものだのだ。
 カリーナは、リョウガンに「ありがとう」と告げてから【真祖】に答えた。
「・・・出来るよ。」
 カリーナは、口調をはっきりとさせた。
「だって、出来たもの。」
 そう、出来たのだ。自分には縁のないと思っていた・・・いや、縁どころか存在しているとも思っていなかったものが、出来たのだ。
 リョウガンが安堵するかのように、小さく息を吐いた。答えを聞いた【真祖】は、何処か苦笑めいた表情を浮かべつつ深いため息を吐く。
「・・・お前たちなら、そう答える気がしていた。・・・なのに問いかけた僕が本当は期待していたのであろう。」
 どういうこと?と問いかけようとして、【真祖】がぴくり、と肩を動かしたことに気が付く。
「・・・お前たちの仲間か?一人と・・・一匹?ここに近づいてくる。」
「・・・ど、どうしよう、カリーナ!それ、マルカブとスハイルだよう!」
 きっとゲンコツされるよう!とアヴィーが頭を押さえた。デコピンが関の山だろうな、とリョウガンは思ったが、口には出さなかった。アヴィーの焦りやリョウガンのどうでもいい感想は余所に、フカビトは顔を上げ、
「・・・おまえたちの仲間は、【空の玉碗】と【星界の欠】」を持っているのか・・・?」
 わずかな驚きを持って呟いて、アヴィーとカリーナを見つめ、
「・・・・・・・・・、これが奇跡というものか?」
 そう、囁いた。


(25章5話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

「子ども二人だけでフカビトに会いに行く」というのは、
書いてるうちにそういう展開になってしまったところもあるんですが、
結果的にリョウガンを出せてよかったです。
しかし、結果的に「子どもたちに茶碗蒸しを作ってあげる赤パイ」とか
「看病の真似をしてむしろ邪魔をしているスハイル」とか書けなくて残念です。

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