まよらなブログ

26章1話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


二週お休みして申し訳ありません。
ここから、「第一部・完」に向けてまっしぐらです・・・・・・
・・・・・・が、少なくとも30章まで書くようなので、
まっしぐらに見えて時間はかかるようです。
お付き合いいただければ嬉しいです。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




26章1話
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 白い椿・・・なのだろうか?
 四階層・・・神殿奥の転移装置の繋がる先、【白亜の森】に辿り着いて、カリーナがまず目にしたものは、地面にぽとりと落ちた白い花だ。蕾から花開こうとした時期に落ちたためか、風邪に吹かれて鞠のようにころころと揺れている。落ちた花は一つだけでない。ぽつぽつと点を散らすように、花は地面に落ちている。
 花の落ちている地面は、曇った鏡のようだった。微かに周囲の風景を反射させている。雨に濡れた道のようだ、とも感じた。そして地面が微かに反射させる風景は、白と緑で出来ている。
 風景を彩る緑は、そこに生えた木々と草だ。赤や白の花をつけている。白は、ところどころに置かれた石灯籠と通路の間に柱のように立つ木の幹の色。そして緑の葉の向こうに見える、世界樹の幹の白だった。
 葉の奥に見える、世界樹の白い幹をアヴィーがじっと見つめる。そして不思議そうに首を傾げた。
「・・・あれ、世界樹、だよね?」
「そうだなあ。」
 ディスケが顎髭を撫でながら答えた。アヴィーは頷き、
「・・・街で見える世界樹の色と違うのはどうしてなのかな?」
「光合成してねえんじゃねえの?」
「こんなに陽が差し込んでるのに?」
 アヴィーが再度首を傾げる。マルカブが、近くにあった柱のような木に触れた。世界樹と同じように白い幹だが、確かに木々の感触をしていることを確かめる。もしかしたら、とマルカブは呟いた。
「・・・街から見える世界樹の色は、表面についた苔とかヤドリギの色なのかもな。」
「ぴよ!ぴぴよ!」
 呟きに、弩の上にとまっていたスハイルが羽ばたきながら何かを答えた。
「スハイルが、当たりピヨ!って、言ってるがね。スハイル、お前は世界樹まで飛んでいったことがあるのかね?」
 スハイルの言葉を訳したクー・シーが問いかけると、ぴよ!とスハイルはやっぱり肯定するのだった。スハイルは高いところが好きなので、わざわざ世界樹の枝にとまりに行ったのだろう。
「変なの。この森に囲まれてる部分は、苔とか付かないってことだよね。」
 こんなに沢山植物が生えてるのに、とアヴィーが周囲を見て呟いた。クー・シーが腕を組んで、
「この森には結界が張られてるって元老院で言われたけど、その結界のせいなんじゃないかねえ?胞子や種子も、結界の外に出られないのかもしれないよ。」
「じゃあ、ここにしか生えてない植物・・・・・・えーっと、なんていうんだっけ?・・・こ・・・こ・・・」
「・・・もしかして、固有種、って言いたいのか?」
「そうそう、それ。白亜の森の『こゆうしゅ』が生えてるのかな。フェイデンさんが来たら喜ぶね。」
 アヴィーが興味深げに周囲を見回す。一方、クー・シーとスハイルは、何か違和感を感じるらしく、そわそわと落ち着かない。どうした?とマルカブが問いかけると、クー・シーは首の後ろをさすりながら、
「いやね、その結界のせいなんだろうけど・・・、なんだか不自然な気の流れを感じて、背中がむずむずするんだよね。」
「不自然?・・・ここにいても大丈夫か?」
「ああ。わしとスハイルしか感じない程度なら、大した違和感ではないよ。アヴィーが感じないなら、ここのエーテルの流れは正常だ。ただ、外界と断絶されてるから、地脈を使った治療が・・・・・・」
 と、クー・シーは言葉を止めた。マルカブが、全く分からん、と表情で示したからだ。クー・シーは苦笑を浮かべた。
「人体とフクロウの体に影響はないし、エーテルが正常に流れてるから気功術も使える。大丈夫。それだけ分かっておいておくれ。」
「・・・それが分かれば十分だ。・・・スハイル。お前もどこかおかしいところはないな?」
 マルカブがスハイルに問いかけると、スハイルは自分の体をきょろきょろと見回した後、カリーナの胸に飛び込んだ。
「ぴぴーぴ!ぴぴ、ぴぴよぴよぴよ!」
「『背中がむずむずするから、ナデナデしてほしいピヨ!』と言っておりますよ。」
「うん。いいよ、スハイル。」
「ぴよー!」
 カリーナに撫でられて嬉しそうなスハイルはどこからどう見ても元気だったので、全く問題はなさそうだ。じゃあ進むぞ、とマルカブが言い、アヴィーが「地面、すべりそうだね。」と言いながら恐る恐る地面を靴裏でこする。鏡のような材質に反して、地面は滑らなかった。
「良かった、滑らなそうだよ。・・・あ、あっちに綺麗な花があるよ!行ってみようよ、カリーナ!」
 と、一方的に告げてから、カリーナの手を引いてターっと駆けていく。おじいちゃんも見に行くーとクー・シーも付いていき、それに小言を言おうとしたマルカブだが、
「結界って何の話?」
 と、ディスケが問いかけられて、彼に視線を移した。何で今、その話なんだよ、とマルカブは呟きかけたが、
「・・・ああ、そうか。お前、元老院で話を聞いてないもんな。」
「そうだよー。俺、腕を焼かれて療養中だったんだからさー。」
「この森は、王家の者しか入れないんように結界を張ってるんだとさ。元老院で貰った【王家の紋章】で、俺らは森に入れるようになってるけど。」
「・・・じゃあ、転移装置を使って、この奥に進めた深王はやっぱりアーモロードの王なんだな。」
「・・・アーモロードの王『だった』だろ。」
 マルカブは小声で細かい訂正を示した。どっちでもいいんじゃねえの?とディスケは答える。マルカブは、ため息をついて
「アーモロードの人間にとって、どうなんだ?それは。」
「何が?」
「実権は元老院が握ってても、姫さんはこの街の姫なんだろ?姫さんは街の人間にそれなりに慕われてるよな。事情があっても、自分の国の人間たちが慕ってる者を倒そうとする深王ってのは、アモロの人間にとって王だって言えるのか?」
「あー。うちのアイドルに何すんだって話かー。」
 お前に言わせるとイチイチ軽い話になっちまうな、とマルカブは呻きつつ、
「深王の行動は、正しいんだよな。例え、世界樹に魅入られてたとしてもだ。人を喰うフカビトは、人間として倒さなきゃいけないんだろうさ。フカビトに憑かれている姫さんを倒すのも、同じ理屈だ。正しいことは分かる。・・・でも、自分の国の住民が信じてるものを奪っていく王っていうのはどうなんだ?国民が事実を知ったときに、二重に悲しむことぐらい分かるだろう。」
 ディスケは苦笑し、しゃがんで花を見ている子どもたちを見てから、視線をマルカブに向けた。
「・・・発想がさ、お前らしいよなー。」
「何がだよ。」
「気持ちが傷つくことを一番心配するところが?」
 と言いながら、ディスケは自分の胸を押さえて見せた。マルカブは苦い表情でそれを見つめてから、どこかしら割り切った顔で苦笑した。
「俺は、それ以上の心配が出来ないんだよ。」
 ディスケは「身の丈にあった返事でよろしい。」と何故か得意げに頷いてから、
「じゃあ、おとーさんが今回のミッションを受けた理由は、姫様を深王から守るっていうより、アモロっ子が傷つかずに今まで通りこの街で暮らすためにってこと?」
「それもあるし、正直・・・、・・・、兄に妹を殺させたくはしたくねえよ。・・・ただ、今は違うな。」
「ん?」
「今は、届け物をしにいくのが目的だ。・・・100年越しの。」
 ディスケが、何だそれ?と聞き返したとき、アヴィーが「この花で、カリーナとスハイルに花冠を作ってあげる!」と言い出しているのが聞こえ、
「アヴィー!遊びに来たんじゃねえんだぞ!」
 マルカブはそちらに小言を飛ばし、会話は終了した。

*****

 【白亜の森】に生息する魔物と、地面の反射が強く自分たちの位置すら把握できない小部屋を抜けて、辿り着いたのは広大な広間だった。その広い空間の先で、一行の様子を伺う人影を発見する。
 人影はオランピアだった。一行の姿を見て、そしてディスケが探索に加わっているのを見て、彼女は落胆したような納得したような表情を見せた。
「・・・やはり、来たか。」
 そう呟くと彼女は高い口笛を吹き、そのまま背後の森へと姿を消す。同時に、広間の中心に、巨大な鎌を持つ魔物が現れた。巨大な蟷螂。その魔物から発せられる威圧感は、他の魔物と桁違いだ。
「・・・逃げよう。」
 魔物を見つつ、カリーナが囁いた。
「魔物も強そうだけど・・・、オランピアも近くにいると思う。あの魔物と戦ってる間に、オランピアが奇襲をかけてくるかもしれない。避けつつ先に進もう。」
 妥当な判断だ、とマルカブも判断し、頷いた。となれば、広間の出口を目指さなければならない。広間の奥に見える出口らしき扉は、蟷螂の魔物の背中の向こうにある。どうしても蟷螂とぶつからなくては辿り着けそうにない。
 オランピアが近くにいるかもしれない、と聞き、周囲を見回したアヴィーが、マルカブの服を引っ張った。
「・・・、あそこに抜け道がある。」
 アヴィーは、広間の側面をちらりと見てから伝えた。
「・・・あの魔物の大きさじゃ通れないよ。まず抜け道に逃げ込もう。魔物が諦めてどこかに行ってくれたら、その隙に奥に進もう。」
「・・・抜け道は確かにあるのか?」
 思わず尋ねるのは、抜け道の存在がアヴィー以外には見えないからだ。目のいいアヴィーは確信をもって頷き、やはり目のいいスハイルが「ぴぴぃー、ぴよ!」と弩の上で胸を張った。どうやらアヴィーの意見に同意しているようだ。
 マルカブは、分かったよ、と囁いてから、蟷螂に剣を向けたまま、
「アヴィーとスハイルは先行して、抜け道まで走れ。他は、それに続け。」
 そう指示した。視線は蟷螂から動かさない。動く方向を悟られるわけには行かないからだ。蟷螂も、動かずにいる。『アルゴー』自身は気づいていないが、彼らは相手が攻め倦ねる熟練された冒険者になっていた。
「・・・ディスケ。」
「はいよー。」
 蟷螂から目を離さずに、マルカブは名前を呼ぶだけでディスケに指示を出した。ディスケは気楽に答え、スハイルが弩から飛び降りるのと同時に、その弩を蟷螂に向けて弾を発射する。その発射音を合図にするようにアヴィーとスハイルが抜け道に向かって駆け出し(スハイルは飛び出し)た。ディスケの放った弾は閃光弾で、蟷螂の目の前で光が炸裂する。複眼に光が刺さり、蟷螂はひどく人間的な仕草で首を振った。
 だが、そんな仕草を見ている暇は『アルゴー』にはなく、アヴィーとスハイルが示した抜け道まで一直線に駆ける。アヴィーは広間の壁になっている茂みの前に屈み、落ち葉を払いのけて抜け道を掘り出した。「こっちだよ!」と仲間たちに告げてから抜け道に潜り込む。スハイルがカリーナを呼び、彼女と一緒に抜け道に潜り込んだ。
「・・・良かった・・・抜け道があって・・・」
 カリーナはほっと一息吐き、膝の上でぴよぴよ鳴いているスハイルを撫でた。
「ありがとう、スハイル、アヴィー。抜け道を見つけてく・・・」
 アヴィーにも礼を言おうと顔を上げたカリーナだが、アヴィーが抜け道の奥を見ながら硬直していることに気が付く。アヴィーの視線の先には、消えたと思っていたオランピアがいた。
 追い込まれた、とカリーナが気が付くのと同時に、クー・シー、ディスケ、マルカブの順で抜け道に滑り込んでくる。(一番足の早いマルカブが最後なのは、全員が抜け道まで到達するのを確認していたのだろう。)アヴィーが体勢を整えきれない大人たちを庇うように、背中の機械を広げて立った。
 オランピアは、静かに問いかけた。
「・・・諦めるつもりはないの?」
 口調はいつも通りだが、どこか哀願するような響き。その響きにアヴィーがたじろぎ、反してカリーナはスハイルを抱いて立ち上がった。
「逆に聞くよ、オランピア!あなたは、なんで諦めてしまうの!?」
 オランピアはカリーナに視線を投げた。カリーナはぐっと唾を飲み込んでから、
「深王様がグートルーネ様を倒す結末なんて・・・、あなたも望んでいないでしょう!?」
「・・・、他に、」
 意外なことに、オランピアから返事が返ってきた。伏し目がちに彼女は問いかけ返してきた。
「・・・方法があると?」
「私たち、【白亜の供物】をもってる。」
 カリーナは声質を一変させて、よく通るが淡々とした口調で告げた。オランピアは視線を上げ、驚きと疑惑の目でカリーナを見る。
「あなたに渡された【星界の欠片】と、クジュラに渡された【空の玉碗】・・・それをフカビトの【真祖】が合わせたの。」
 カリーナは畳み掛けた。
「深王様が捜していた【白亜の供物】を、私たちは持ってるの。あなたは、これがどんなものか知っているんでしょう?これは深王様たちの役に立つものなんじゃないの!?諦めないで、教えてよ!」
 オランピアは呆然とカリーナを見つめ、そして「ありえない。」と頭を振り、
 再度、森の奥へと消えてしまった。


(26章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------


オランピアのくだりは、ゲームと異なりますが、
まあ、この方が書きやすいから理論、ということでご了承ください。
次回以降から、ますますゲームと異なるシーンが出てきます。
ホント世界樹カンケーねえ!で申し訳ありませんが、
今更なので、仕方がねえ。


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