まよらなブログ

26章5話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


新・世界樹が本格的にカウントダウン中ですが、
志水は7月25日の逆裁5に向けて、本格的にウォーミングアップ中です。
普通ならここに新・世界樹ネタを書くよなあ、というタイミングですが、
まったく別のことを書いてると思います。

新・世界樹は逆裁5の後ですね。逆裁5を二周やったその後です。
マッピングがしたいです、マッピング。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




26章5話
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 【白亜の供物】をクジュラに渡そうとしても、意思を持つかのように白い光はアヴィーの手のひらに戻ってくる。
「・・・・・なんか怖いよう・・・!」
 アヴィーが泣きそうになりながら、【白亜の供物】をマルカブに差し出した。俺に渡すなよ、と言いながらマルカブが受け取るが、【白亜の供物】がアヴィーに戻ることはなかった。スハイルが「ぴぴ!ぴぴ!」と鳴くので、【白亜の供物】をスハイルの頭に載せてみるが、やはり【白亜の供物】はその場に留まった。
「【白亜の供物】は『アルゴー』を認識するようだな。俺が、姫様にお届けできれば手間は無かったのだが・・・。」
 クジュラは予想していたのか、大した驚きもなく呟いた。スハイルは得意げに胸を張った。
「ぴぴ、『ぴうよー』!」
「うん、スハイルは『アルゴー』だよ。」
 カリーナは頷きつつスハイルの頭から【白亜の供物】を取って、
「・・・じゃあ、これをグートルーネ様に届けるのは、私たちにしか出来ないんんだ。」
「そうなるな。姫様は森の最奥でお休みになられている。この森に結界が張られていることは知ってると思うが・・・、そうして御身に宿るフカビトの力を押さえられているのだ。」
「ああ、それで、姫様はあんまり外に出てこないんだ。」
ディスケも【白亜の供物】を試しに持ってみながら、納得する。その【白亜の供物】を今度はクー・シーが持ちたがっている。宇宙の神秘にしてアーモロードを救うかもしれない【白亜の供物】が、『アルゴー』のおもちゃになっているのを複雑な視線で見ながら、クジュラは頷いた。
「・・・姫様のいらっしゃる場所を教えることは出来るが・・・」
「ああ、いいよ。最奥にいるんだろ?」
 マルカブは、クー・シーが【白亜の供物】をお手玉にし始めたのを見て、それを取り上げながら答えた。
「そこまで行けばいいだけだ。俺らが【白亜の供物】を持ってることを、お前に伝えたのがオランピアなら、彼女も妨害してこねえだろうし。」
「・・・ねえ、クジュラ。オランピアは、僕らが【白亜の供物】をお姫様に届けてもいいって思ったんだよね?どうしてそう思ったのか、その理由を聞いている?」
 アヴィーが不思議そうに問いかける。クジュラは一瞬の躊躇いを見せてから、
「・・・理由を聞いたわけではないが・・・、理由は分かる気がする。」
「分かる?」
「あの女がお前たちに【星界の欠片】を渡したのだろう?それを集めていたのが、妹君の記憶を持っていた頃の深王なら・・・、あの女もその頃の王に戻ってほしい、と思ったのだろう。」
「そっか。兄妹は仲がいいほうがいいもんね!」
 そういう単純な理由でもないが、しかしそんなシンプルな理由でもある気がして、アヴィーの一言にクジュラは苦笑を浮かべただけだった。彼女は時々妙に人間くさいことをするよねえ、とクー・シーは呟いた。いつものクー・シーの口調だが、クー・シーが仲間を失った因縁はオランピアにある。マルカブとカリーナが心配そうにクー・シーを見つめた。その視線に気がついたクー・シーは、おかしそうに笑い、
「そんな顔をしないでよ。別に、オランピアを許した訳じゃあないけどね、それとこれは話が別だよ。もし、オランピアが深王と姫を元に戻したいって思うんなら、それを否定する必要なんかないだろう?だって、わしも、兄妹は仲がいい方がいいと思ってるんだから。」
 笑うクー・シーの言葉を聞いて、カリーナは「私たちに言っていることなのかな・・・」と、少し心配になる。カリーナにも、一度しか話したことのない兄がいる。その兄をカリーナ以上によく知っているのはクー・シーだ。
「・・・しかし・・・ここからは、俺の完全な推測になるが・・・」
 クジュラは独り言のように呟いた。
「100年前、姫様にフカビトの力を移植する方法を、海都の人間に伝えた存在について・・・あの女も、俺と同じ者を疑っているのかもしれない。」
「?クジュラは誰を疑っているの?」
「世界樹だ。」
 単刀直入に聞いたアヴィーに対して、クジュラも端的に答えた。アヴィーは首を傾げて(アヴィー以外の『アルゴー』は息を飲んだが)、
「何で世界樹が?世界樹は深王様の味方なんでしょう?」
「味方・・・か。そうかもしれないが・・・、【魔】を追って宇宙から来たのは、世界樹だ。深王が世界樹の味方になっている、という方が正しいと思うが。」
「???」
 アヴィーが首を傾げるが、世界樹が『ファクト』に語った話をシェリアクから聞いていたマルカブは、その話を理解した。
「・・・世界樹が『ファクト』に言った話じゃ、フカビトが人を操って世界樹を滅ぼそうとしているらしいけどな。」
「フカビトの【真祖】にはその意図もあるのだろう。捕らえられているとはいえ、そうでなくては簡単に己の力を奪われるとは思えん。捕まったからこそ、支配下にある人間を作り、逃亡の手助けをさせるというのは至極真っ当な方法だろうしな。しかし、姫様に力の移植の処置を行ったのは、人間だ。海都の人間が【真祖】の言葉を聞くとは思えん。兄王が記憶を無くしているのも、世界樹の意志かもしれん。・・・まあ、俺や元老院の婆様の推測でしかないがな。」
 クジュラはそう言って、立ち上がる。
「長居をしたな。お前たちが俺の話を聞いて、そして選択してくれたことに感謝をする。そして、・・・謝罪も。俺は何も出来なかった。・・・おそらく、オランピアも同じように思っている。」
 深々と頭を垂れるクジュラを見てから、マルカブは手の中の【白亜の供物】を見た。
「・・・お前らが、何も出来なかったと思うことないだろ。」
 手の中の【白亜の供物】を眺めつつ、マルカブはつまらなそうに口にした。
「お前が【空の玉碗】を、オランピアが【星界の欠片】を持ってきたから、【白亜の供物】が手に入った。お前は姫さんから【空の玉碗】を預かってきたんだろう?それは、お前が今まで姫さんに忠実に仕えてきたからこその信頼だろ。オランピアが何を思って【星界の欠片】を持ってきたのかは知らないが、それだってオランピアが長年深王に仕えてきたからの判断だ。お前らの今までの働きがあってこそ、だ。俺らが【白亜の供物】を持ってるのは、ただの結果でしかねえよ。」
 頭を下げたままのクジュラの肩がぴくり、と動き、「そうだよう!」「頭下げることないよ!」「ぴよッ!」と子どもたちがわいわい言い出した。クジュラは顔を上げてから、もう一度頭を下げて、
「・・・ありがとう・・・!」
 おそらく、オランピアの分も乗せて礼を言った。


*****

 その夜、カリーナは野営地に張られたテントからこっそりと出てきて、焚き火の前で見張り中のクー・シーの隣に座った。(他の仲間たちはテントの中で熟睡中だった。以前はカリーナ一人にテントを使わせた『アルゴー』だが、カリーナがテントの中を布で区切り男女別に分け、仲間たちにもテントを使うように言い聞かせてから、見張りの一人以外はテント内で寝るようになった。)クー・シーは心得た様子で、カップの中にハーブを入れて、火にかけていたやかんから湯を注ぐ。
「起きてくると思ってましたよ、姫。」
「・・・うん。・・・・・・私も、クー・シーは気づいたと思ってた。」
「さて。わしは何に気づいたのでしょうな?」
 ハーブを濾しながら、クー・シーは小さく笑い、カップをカリーナに差し出した。カリーナはそれを受け取り、一口すすってから、小さな声で答えた。
「・・・私にとっての王って何かってこと。」
「・・・何かにお気づきになられた、ということは分かりましたが。」
 クー・シーは自分のカップを持ち上げて、カリーナではなく火を見つめる。
「どのようなことに、お気づきになられたのか。それは姫以外には分かりませんな。」
「・・・うん。だから、聞いてもらおうと思って。本当は、ツィーやリョウガンもいるところで話した方がいいんだろうけど・・・。」
 カリーナは少し考えてから、
「・・・ツィーは違うのかな・・・。」
「何がですかな?」
「クー・シーは私をいつか国に連れて帰るつもりでしょう?リョウガンは私の臣下だから、私に付いてくるよね。もし私が国に帰ることになっても、二人は私と一緒にいるよね。」
 カリーナが「国に帰る」話をしていることに、クー・シーは泣きたくなったが、「そうですな。」と答えるだけだった。だって、その通りだったからだ。
「ツィーはセイリアス様の臣下だけど、『ファクト』の一員だから・・・、私とは友達だけど、私の臣下じゃないから。ツィーが『ファクト』と一緒にいたいって言うんなら、私はツィーを国には連れて帰らない。そんな権限ない。だから、・・・ツィーは違うのかなって。」
「・・・ご自分には認められない権利を、ツィーには認めていただけるのですな。」
「うん。だって、ツィーと私は違う人間だもの。」
 カリーナは、ごくあっさりと受け入れた。
「だから、しょうがないよ。」
「・・・しょうがない、と。そう、仰るのですか。」
「・・・うん。やっぱり、私は王族なんだよ。」
 カリーナは溜息をついた。
「それは、しょうがないんだよ。今度生まれ変わるときは普通の女の子がいいって、神様に文句を言うくらいしか出来ないよね。」
「帰りたくない、と我儘ぐらい言ってもいいのですよ。」
 ありがと、とカリーナはささやき、カップを置いて膝を抱えた。
「・・・帰りたくはないよ。・・・ううん、私の家は『ここ』だから、あの国に『行きたく』ないよ。けど、私のやるべきことは・・・国にあることも分かるんだ。」
 カリーナは膝の上に顎を載せた。
「アーモロードに来て、深王様やグートルーネ様を見て・・・、何だか納得できなかった。納得できなかった以上、私は私が納得できたことをしなきゃいけないと思うんだ。私は、深王様みたいに、大事な人を忘れて、知らない誰かのためには頑張れない。グートルーネ様と同じくらい、大事な人はいるけど、その人のためだけに生きられない。私は、マルカブやアヴィーやクー・シーやディスケやスハイルがいるから頑張れるし、みんなが大事に思ってる人のことも大事にしたい。だって、コロネさんに何かあればディスケは悲しむし、ツィーに何かあればクー・シーも悲しいでしょう?ミモザが探索で怪我しないかアヴィーは気にしてるし、・・・エラキスさんが自分を覚えていないのが悲しいのに、思い出すことで傷つかないかを心配するマルカブもいる。私は、みんなが悲しい思いをするのはイヤだから、みんなが大切に思ってる人たちも幸せならいいと思う。そして、みんなが大事に思ってる人にも大事にしてる人たちがいる。その人たちが幸せなら、みんなが大事に思ってる人も幸せで、そうしたらみんなも幸せな気持ちになれる。そういう風に、人って繋がってるんじゃないかって。」
 そうしたら、この町の人たち皆が幸せならいいなって思ったんだ、とカリーナは微笑んだ。禅問答のようですな、とクー・シーは呟いた。カリーナはくすりと笑ってから、
「私ね、思ったの。そんな風に、私の国の人たちが幸せならいいなって思えたら、私は王様になっても平気だって。私は、王様であればこそ、一人ぼっちじゃないんだって。だって、私の国にもクー・シーやリョウガンが大事に思う人がいるでしょう?私を助けてくれたアウグストにも、王宮で私に仕えてくれた乳母や騎士や侍女たちにもいる。フィデリオやシルンにだって、大事な人はいたはずでしょう?それに、マルカブやアヴィーやディスケの大事な人の大事な人の大事な人の、そのまた大事な人が、私の国の人かもしれない。そうしたら、私はその人が幸せに暮らせるように政をすることで、アーモロードにいるマルカブたちが幸せにできるかもしれない。」
 そうしたら私は一人じゃないよ、とカリーナは焚き火を見つめて囁いた。
「私は、大切な人が大切に思っている知らない誰かのためなら、頑張れる。その一人一人の大切な繋がりを、地の果てまでも背負うのが王ならば、」
 焚き火を見つめるカリーナの瞳が揺れた。その瞳に浮かんだ涙が、哀しみなのか歓びなのか、決意の現れなのか別離への覚悟なのか、感情の高ぶりの結果なのか気分の沈滞の結果なのかはクー・シーには分からない。分からないが、カリーナは確かに見つけたのだ。自分の王としての在り方を。
「王は孤高でも、孤独じゃない。私は、顔を知らない民のことを、大切に思う相手がいる一人の人として、きっと愛せる。地の果てまで続く大切な繋がりを、私は断ち切らせない。そうやって、私は私の民と・・・私の大事な人を護るんだ。」
 だから、私はここに来て良かったんだよ、とカリーナは顔を上げてクー・シーを見た。瞳はもう乾いていたが、その瞳は驚きで開いた後に、数度瞬きをして、弓なりにしなって、笑った。
「何で、泣くの?クー・シー。」
 クー・シーは頬にこぼれる涙を拭い、分かりません、と頭を振った。
「分かりません、姫。悲しいのか嬉しいのか。誇らしいのか己が情けないのか。ありがたいのか申し訳ないのか哀れに思っているのかうらやましく思っているのか、分かりませんよ!」
「・・・そんな風に泣く、クー・シー、初めて見た・・・。私のせいなら・・・ごめんなさい。」
「まったくです!若い娘はもっと・・・もっと、わがままに、恋に恋して、今日や明日の楽しみだけ考えて、生きていてもいいのです!長年生きてきましたが、こんなにわしを痛々しい思いにさせるのはセイリアスと貴女ぐらいなものですよ!」
「・・・うん。ごめんなさい。ありがとう。」
 でも、とカリーナは囁いた。
「決めたの。だから、これは私のわがままだよ。それに、海の向こうの大事な人を想いながら、私の国を治めるんだもの。恋に恋もしてるんだよ。」
 後半は冗談めかしており、クー・シーを安心させようと言う魂胆すら見え隠れする。クー・シーは唇を噛んだが、それ以上は何も言えず、
「せめて・・・せめて、姫。迎えが来るその日までは。」
 どうかただの少女としてお過ごしください、と。そう伝えるだけで精一杯だ。


(27章に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

私は、お子ちゃまーずに対しては、
ほぼ赤パイと同じ思いでいるので(つまり親バカだということだ)、
プリ子が「国に帰る」決意をはっきり出した今回は
正直「なんで淋しいこと言うんだよーもっとわがまま言えよープリ子ー」
と思いながら書いてました。書くの辛かったーでも、やっとここまで来たよー


で、うちのプリ子の王様論はここが結論にして出発点です。
彼女がある程度の答えを出す、ということは最初から決めていて、
その内容は書き進めながら作ってました。
その途中で、某zeroなFateの聖○問答の辺りを繰り返し読んだので
使ってる言葉が微妙に影響受けてて、なんとなく笑えます。


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