まよらなブログ

27章1話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


今回の話、
途中から書き出して最後まで書いた後、前半を書く、
という流れで書いたので、前半に息切れ感が漂ってます。

折角のゲーム原作があるので
探索シーンをもっと書かないと、とは思うんですが、
それをやるとホントに長くなるので、
「自分が作った話」を優先させてしまい、
「世界樹カンケーねえ!」感が強くなってしまって、なんかなあ・・・と思ってます。



それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。




27章1話
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 鏡のように反射する床とぬかるみ、その通路をぐるぐると周回している羊の魔物をやりすごして、『アルゴー』は18階を進んでいた。
 その18階の地図も、そろそろ埋まりそうだ、というころに、道の向こうに朱い鳥居が見えた。鳥居は裏側を『アルゴー』に見せている。スハイルが「ぴよー!」と鳴いて飛んでいき、鳥居の上に停まった。
「・・・・・・・・・変、なの。」
 カリーナが鳥居の裏面を眺めて、首を傾げる。
「こっちが鳥居の裏側なら、向こう側が入り口ってことだよね?」
「裏道から入っちゃったのかな?」
 アヴィーはそう言いながら、綺麗な鳥居だねえ!と朱色の鳥居をくぐる。そしてくぐった先で振り返り、鳥居の表面を見上げた。
「・・・あ!なんか書いてあるよ?」
 鳥居の真ん中に、札のようにかけられた古い文字を見て声を上げる。スハイルが鳥居から降りて、アヴィーの腕に停まった。
「・・・・・・あ、この文字、クジュラからもらった【大将軍の采配】の文字に似てる!クジュラかオリヒメなら読めるかな!」
 と、アヴィーは鳥居をくぐってきたカリーナにスハイルを渡し、ポケットからメモ帳と鉛筆を取り出して、鳥居にかけられた文字を写し始めた。アヴィーが『八百比丘』と書かれたそれを、慣れない筆跡で一生懸命書き写している間に、『アルゴー』たちは鳥居をくぐった先をぐるりと見回す。
「・・・行き止まりか?」
 鳥居の先は小部屋のようになっているが、先に続く道はない。カリーナとスハイルが周囲の茂みを覗き込んでみたが、抜け道もなかった。
「・・・おかしいね、他に道はなさそうだけど・・・」
 クー・シーが地図を広げながら、周囲を見回す。マルカブは帽子を下ろして頭を掻き、
「見落としたか・・・。面倒だけど、一回戻るぞ。野営地までに何もなかったら、今日の探索は終了して町に戻ろう。」
 そう告げて、踵を返し、鳥居をくぐり直して来た道を戻る。メモを取り終えたアヴィーは、自分のメモと鳥居の文字を交互に見ながら「よし!」と頷いて、メモをしまう。そして、
「やっぱり、鳥居は正面からくぐった方が気持ちいいよね!」
 と言いながら、たたた・・・!と軽快に鳥居をくぐり直し・・・
 急に視界が歪んだ。
「・・・・・・、あ、あれ?」
 アヴィーはきょろきょろと周囲を見回す。周囲には、やはり同じように周囲を見回す仲間たちがいたが、くぐったはずの鳥居は背後に無かった。背後にあるのは、茂みと壁のような木々。そして、前方に、朱色の鳥居が裏面を見せて立っている。
「・・・・・・ここ、さ、さっきと違う場所だよね・・・!?」
 アヴィーが泣きそうになりながら、マルカブに問いかける。マルカブは腰に提げているコンパスを取り出し、クー・シーが広げたままの地図を見ながら、方角を確認した。
「・・・今、東を向いてるよな。鳥居をくぐり直したときも、東に向かってた。だから、俺らが方向転換したわけじゃない。」
「あれじゃねえの?ほら、結界張ってるって言ってたじゃん?それの、何か。」
 ディスケが、ぴーぴー泣き出したスハイルをなだめながら、適当なことを言う。クー・シーが髭を撫でて、
「あの鳥居が、その結界の『何か』かもしれないねえ。」
 と、眼前に見える鳥居を指す。アヴィーがふるふると首を振りながら、
「ま、また、次の鳥居もくぐるの!?」
「他に道がないからしょうがないねえ。」
「僕、やだなあ・・・!こんな変なの、怖いよう・・・!」
「ぴーー!!」
 怪奇現象が苦手であるアヴィーとスハイルが、首を振って嫌がった。俺だって嫌だよ、とマルカブは呻きつつ、じーっと鳥居を見つめているカリーナに気づく。
「どうした?カリーナ。」
「あ・・・、うん。確かめてみないと分からないけど・・・、もしかして、鳥居を正面からくぐったときに、違う場所に飛ばされるのかな・・・って思って。」
 カリーナは目の前にある鳥居を指して、
「あの鳥居は裏側だから・・・先に進めるんじゃないかな・・・って。」
「さすが、姫。冷静に観察されておりますな。」
 感心感心!とクー・シーは地図を丸めながら誉め、カリーナは「自信はないけど・・・」と首を傾げた。
「ま、確かめてみればいいんだよー。ほら、アヴィー、スハイル、行くぞー。」
「や、やだよう!ディスケ、背中押さないでよう!」
「ぴー!!!」
 ディスケに背中を押されて(スハイルは足を掴まれて)、抗議するアヴィーだが、力に負けてそのまま裏側から鳥居をくぐる。しかし、今度はただくぐっただけだった。
「・・・あ、カリーナの言う通りかも。」
 ディスケが頷き、そして、道の先を見る。道の先に、もう一つ鳥居があった。そしてそれは、正面を向けていた。
「よし!あの鳥居は正面だ!あれをくぐれば、カリーナの仮説が正しいか分かるぞ!いくぞ、アヴィー!研究者は仮説を検証してナンボ!俺もお前も、宙に浪漫を求める研究者だろーよー!」
「僕は星の研究をしてるけど、鳥居の研究はしてないよう!」
 そんなことを言いながら、ディスケと(ディスケにがっちりホールドされた)アヴィーは道を進んでいく。カリーナが慌ててそれを追って、
「ま、待って、ディスケ!私が言い出したことだから、私が確かめる!私の考えで、みんなを危険な目に合わせられないよ!」
「ひゅー!カリーナ、カッコいいなあ!おにーさん、嬉しいような悲しいようなー。ほら、アヴィー。カリーナはああ言ってるけど、どうするよ?まずはカリーナに確かめてもらう?」
「わ、分かったよ!僕も鳥居をくぐるよう!」
 と、そんなことを言いながら、結局三人と一匹は鳥居を正面からくぐり、
「あ、消えた。」
「カリーナの言った通りかよ・・・」
 その後ろを歩いていたクー・シーとマルカブは、鳥居をくぐった三人と一匹の姿が見えなくなったのを確認してから、自分たちも鳥居をくぐった。
 そして飛ばされた先に、下層へ続く階段を発見した。
 


*****

「お、『アルゴー』、おかえりカ!?」
 階下に続く階段までを確認して町に戻ってきた『アルゴー』が【羽ばたく蝶亭】の前を通りかかると、仕入れたらしい酒樽を店に入れていた女主人が声をかけてきた。
「ぴよーーん!!」
 スハイルが嬉しそうに声を上げて、女主人の胸元に突撃しそうになるので、カリーナは素早くスハイルを抱きしめた。スハイルはカリーナの腕の中で、バタバタもがき、「ぴーーー!!」と怒り出す。
「ママさん!僕、樽運び手伝うよ!」
 アヴィーが蝶亭前に置かれている樽を、うんしょ、と引きずるように持ち上げて店に入れる。「いつものとこに置けばいいんでしょう?」と聞いてから、樽をゴロゴロ転がして行った。女主人は「よろしくナー!」と声をかけてから、『アルゴー』に向き直り、
「世界樹の下の森をボウケンしてるそうだナ!順調ですカ!?」
「まあ、そこそこな。」
「最近、店に顔出さなイかラ、心配してたヨ!店に寄っていケ!」
 女主人のお誘いに、スハイルが一番に反応する。
「ぴよーーーーーん!!」
「スハイルがこんな調子だから、寄れないんです・・・」
 カリーナがスハイルをぎゅっとさらに抱きしめる。いつもならそれだけでご機嫌になるスハイルだが、カリーナの薄い胸よりは女主人の豊かな胸に行きたいスハイルは激しく足をばたつかせる。このままだとカリーナの腕を爪で引っかきかねない、と思ったマルカブは、スハイルの頭をむんず!と掴んで持ち上げた。
「せっかくだけど、ママさんの仕事の邪魔しそうだからな。スハイルの躾がもうちょっと上手くいったら、寄るよ。」
「ぴぴ、ぴぴよぴぴよ!」
「姫の腕の中で暴れて、『ぼくは、いい子ピヨ!』って言われてもねえ・・・。」
 クー・シーが呆れた様子で呟くと、スハイルは「ぴーー!」と反論する。そこへ、アヴィーが店から出てきた。
「ママさん、置いてきたよ。他にも運ぶものある?」
「十分でス!ありがとナ!アヴィーはいい子だナ!」
 女主人に感謝のハグをされ、真っ赤になって慌てるアヴィーを、「アヴィー、いいなー。」「子どものうちに楽しんでおけよ。」とディスケとマルカブが茶化すとアヴィーは「僕は子どもじゃないよ!」と怒り出した。スハイルは「ぴぴぃー、ぴーーーっ!!」と怒り出し、クー・シーが苦笑した。
「アヴィーに『ズルいピヨ!』って言ってもねえ、スハイル。ああいうときに、さっと荷物を持ってあげる方が、男を上げるってもんなんだよ。」
「ぴっ?」
「確かに、さりげなく優しくしてもらうと嬉しいよね。」
「ぴッ!?」
 カリーナにも同意されて、マルカブに頭を持たれたままのスハイルは声を上げ、
「ぴぴーぴ!ぴぴ、ぴぴよぴぴよ!」
「姫、スハイルが『ぼくも優しいピヨ!』って言っとりますよ。」
「うん。知ってるよ、スハイル。優しいスハイルは、ママさんのお仕事の邪魔しないよね?」
「ぴよッ!」
 スハイルがとてもいい返事をし、三日もすれば忘れるんだろうな、とマルカブは疑いつつ、大人しくなったスハイルをカリーナに返す。女主人は明るく笑い、
「『ファクト』も最近、忙しそウだシ、常連が減ってルんでス。今度、ミンナで寄レ!」
「ぴよッ!」
「『ファクト』も来てないの?」
 アヴィーが不思議そうに尋ねる。『ファクト』は探索よりも、依頼に応えることを重要視しているギルドだ。依頼はこの店経由でくるので、『ファクト』は食事で利用しないときも蝶亭に寄ることが多い。女主人は、そうなんでス、と頷いて、
「三階層ノ、女王蟻退治の依頼を受けてくれタんだけどナ、」
「・・・それって・・・・・・」
 帰ってきていないのか、と思い、カリーナが顔を青ざめさせて聞く。女主人は、心配するナ!と笑い、
「女王蟻は倒しタそうでス!『ファクト』は宿に帰ってルって、宿の息子が教えてくれタよ!・・・デモ、報告しにこナイんだヨナー。エリンギなシェリアクにしては珍しイよ。」
「・・・エリンギじゃなくて『律儀』だと思うぞ・・・。」
 マルカブのツッコミは全く無視して、女主人は腕を組んで思案する。何かあったのかな・・・とカリーナは呟いてから、マルカブを見上げる。何かあったとしか思えないよな、とマルカブは思いながらも、顔には出さなかった。ディスケがパタパタ手を振って、
「『ファクト』に会ったら、ママさんが待ってるって言っとくよー。」
「頼んだゾ!」
「そういうことだから、とっとと宿に戻ろうぜー。ママさんのためにもさー。」
 ディスケが仲間を促し、歩き出す。それを追うような形になったマルカブの耳に、
「・・・そっか。あいつ等、仇討ってくれたんだなー・・・」
 と呟くディスケの声が聞こえてきた。

*****

 『ファクト』は確かに宿に帰ってきていた。帰ってきていたのだが、彼らは部屋にはいなかった。宿の少年は、『ファクト』は宿に併設されている治療院の方にいる、と教えてくれた。
「・・・『ファクト』は誰か、怪我したの?」
 アヴィーがおそるおそる問いかけると、少年は少し困った様子を見せてから、頷いた。
「・・・エラキスさんが怪我を。」
 少年は心配そうに、治療院に続く廊下を見つめ、
「治療は済んだんですけど、目を覚まさないらしくて・・・」
 少年が全てを言い終わらないうちに、マルカブが無言で踏み出して廊下を足早に進んでいく。待ってよう!と追おうとするアヴィーを、ディスケが襟を掴んで素早く止めてから、
「・・・カリーナ。」
 追うべきか追わないべきかを迷っている様子のカリーナに、声をかけた。
「追わない方がいいぞ。」
「・・・で、でも・・・」
「なんで!?僕もエラキスさんが心配だよう!」
「ぴーーーッ!!」
 全く分かってないアヴィーとスハイルを、ディスケは「お子ちゃまは黙らっしゃい。」と小突きながら、カリーナを見た。
「・・・マルカブの未練で、お前が傷つくことないだろ?」
 口調に反して真剣なディスケの言葉に、カリーナは視線を揺らして狼狽した。


******


 『アルゴー』が宿に着いた頃、アーモロードの港には一隻の商船が到着していた。港の管理者である老人が、その商船から降りる乗客の入国の手続きをしている。なかなかに面倒な仕事だが、アーモロードの唯一の玄関口を守る身となれば、手を抜くことのできない仕事でもあった。
 次の人、と促して、やってきたのは金髪の女性だった。肩につかない長さの髪は巻き毛らしく、ウェーブがかかっている。荷物を肩にかけており、手には杖の先に刃のついた剣とも杖ともつかない武器を持っている。冒険者だろう、と老人は推測し、その武器には特に注意は払わなかった。事務的に、名前と出身を、と促すと、女性は口を開いた。八重歯が見えた。
「フロレアル・ダンベルト。」
 女性は淡々と質問に答えた。
「剣と茨の紋の国から来ました。」

 

(27章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------


当初はフロレアルは「ラカイユ」という偽名を名乗って
『アルゴー』をかき回す予定だったのですが、
プリ子が予想より早く決意をしたので、必要なし、として本名で上陸しました。
なお、ラカイユは、
「アルゴ座」を「りゅうこつ」「ほ」「らしんばん」「とも」座に
分割した天文学者の名前です。
フロレアルの職業はドクトルマグス(世界樹2)ですが、
パラディンの家系なので盾は鈍器だと思ってます。


この章から「うちの赤パイを体育館裏に呼び出したくなるターン!」が続きます。
まあ、いつものことなんですが。



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