まよらなブログ

28章1話。

「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


逆裁5をクリアしたので、新世界樹を始めました。
ただいま、第二階層10階への階段を下ったところです。
フロアジャンプ機能のおかげで、「超便利!!」ですが、
抜け道が減って、フロアジャンプが解禁されるまで「超危険!」だと思います。

それにしても、登場する食べ物がイチイチイチイチ美味しそうです。
兵士の作ってくれるお弁当、超旨そうなんですが、
3階層にも弁当持参で待っててくれるなら、脳内でプロポーズしようと思います。

公式が、樹海でこんなに飯を食わせるんだったら
私も自重しないで、あれこれ食わせればよかったなあ・・・と思ってます。
プリ子が駄菓子に興味を持つ話とか、
「女子会の差し入れにたこ焼きは無い」と言われる話とか、
黒ゾディがイチゴのケーキとチョコレートケーキを作る話とか、
赤パイが料理するうちに昔の女の話になってプリ子超不機嫌とか
いろいろあったんですが。

焼きマシュマロも泣く泣く削ったエピソードだったので
五日間クエストで、悔しい思いをしましたが、
アーサーが可愛いかったので許そうと思います。




それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。
今回から、カウントダウン始まってます。


28章1話
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 カリーナは、素直な分だけ子どもっぽく見えるが、実際のところ年齢よりもよっぽど大人びている。
 ・・・・・・というのが、ディスケの見解だった。大人びている、といっても、振る舞いがマセている、ということではない。本来なら自分でもどうにもならない衝動が沸く年齢だろうに、彼女は感情や衝動を実によくコントロールする。
 もちろん、カリーナも安心すれば泣き出す。信頼してる相手には甘える。無邪気なアヴィーや屈託のないアル・ジルとは一緒になって、はしゃぐ。初めて見るものには触れてみたくてウズウズする。アヴィーやスハイルの前ではお姉さんぶってみる。たまにディスケに対してもお姉さんぶってみる。エラキスに嫉妬したりもするが、それを表に出すまいと取り繕ってみる。本人と鈍いアヴィー以外にはバレバレな程度に、マルカブの姿を追っている。けれど、それをバレていないと思っている。人見知りもする。嬉しいとはにかみ、誉められると赤くなる。
 彼女の情緒はのびやかだ。押さえ込んでいるわけではない。少し表現下手なところはあるかもしれないが、自然と湧き出るものをそのまま表現する。
 けれど、彼女は感情を実によくコントロールする。特に、疲れ、怖れ、恨み、哀しみ、そういったいわゆる『負の感情』を表に出すことは少ない。そういった感情を感じていないわけではない。自分自身に対して必要以上に冷静なカリーナなので、自分の『負の感情』を否定しているわけでもないのだろう。ただ、表に出さない。・・・というよりも、自分の疲れや怖れや恨みや哀しみを他人にぶつけない。
 彼女は自分の感情に、他人を巻き込まない。
 16歳という年齢を考えれば、反抗期という八つ当たりがあっても致し方ないはずだ。まして、彼女の今までの生活を考えれば、どうして自分は幸せではなかったのか、と叫んでもいいはずだ。しかし、彼女は八つ当たりもしない。恨み言も言わない。少しむくれたり、泣いたり、マルカブに甘えたりはするが、結局は「それはそれ」と飲み込んで、諦めて、受け入れる。「どうして自分だけが。」とは言わない。
 自分の置かれた状況を誰かの所為にしていたら、それは自立とは程遠い。自分の置かれた状況を自分の所為にばかりにしていたら、それは酔っているだけだ。カリーナは、(実年齢と比較してではあるが)、その点では自立しており客観視も出来る。大人なのだ。
 ・・・とはいえ、器は16の少女だ。上手にまとめているようで、小さな綻びというものは存在する。微かな違和感、と呼ぶしかない程度のものではあっても。
 ここ数日、カリーナは何となくぼんやりしている。集中していないわけでもないし、探索に支障をきたすようなミスはない。ただ、全身全霊さがない。自分のほんの少しの部分を、ここではない何処かに向けている。少しだけ、心ここに在らずの状態。切り替えきれない状態を、ずるずると引きずっている。
 珍しいな、と思いながら、ディスケは弩を担ぎなおした。弩に留まっていたスハイルが、揺れに文句を言う。悪い悪い、と軽い謝罪をしながら、ディスケは樹海19階の地図を書き込んでいるカリーナを見つめる。
 カリーナとアヴィーは、樹海の地面に地図を広げて、頭を付き合わせて地図を書き込んでいる。野営地でもない場所なので、少し引いたところでマルカブが周囲を警戒しながら見回している。クー・シーはその辺の茂みに分け入って面白いものがないか探しており、ディスケは一服中だった。
 子どもたちは地図を指さしながら、正面からくぐると別の場所に飛ばされる鳥居の位置と飛ばされるポイントを一つ一つ確認している。地図を確認しているカリーナは、しばらく地図をじっと眺めており、「直線上に飛ばされるのは確実そう。」と言いながら、地面に落ちている木の枝を、鳥居と転移先に結ぶように置いていく。
 慎重さも気になるものを凝視する癖も観察眼も、いつも通りのカリーナだ。
 しかし、それでも、何かが違う。
 ディスケは煙草の煙を吐いた。スハイルが煙たがって文句を言ったが、今度は「だったら弩から降りろよー。」と相手にしなかった。スハイルは甲高く鳴いて怒ってから、茂みの中から【白桐の樹皮】を持って出てきたクー・シーの肩に留まって、「ぴいぴん!ぴぴぴ、ぴーー!!」と文句を言った。「おや、珍しい。」とクー・シーは呟いてから、
「ディスケ、スハイルが『ディスケがヒドいピヨ!』って言ってるけど、どうしたんだね?」
「煙草の煙が気に入らなかったみたいでさー。悪いな、スハイル。でも、
俺も煙草吸いたいんだよー。」
「ぴー!!ぴぴぴ、ぴーー!」
「スハイルは『そうじゃないピヨ!ディスケ、ぼんやりピヨ!』って言ってるけどね?」
「・・・・・・、は、」
 ディスケは思わず苦笑した。まあ、確かに。自分も、スハイルとやり取りをしているようで、意識はスハイルではなくカリーナに向けていた。
「・・・そうだな。スハイルは賢いなー。」
「ぴよ!」
「でも、ごめんなー。おにーさん、もうちょっとぼんやりするから、爺さんと遊んでてよ。」
「ぴーーー!!」
「しょうがないね。スハイル、ほら、おじいちゃんってば【白桐の樹皮】を拾ってきたよ。何せ高く売れるからね。これで、今日の夕飯におかずが一品増えるよ!」
「ぴよーん!」
 スハイルがご機嫌に鳴くと、マルカブが「静かにしてろよ・・・」と頭を抱えた。何せここは野営地でもない樹海の一画。魔物に見つかれば直ぐに戦闘だ。
 マルカブの小言が続くか、と思ったが、彼は溜息を一つ吐いて、地図を描いているアヴィーとカリーナに視線を向けた。マルカブもカリーナの違和感に気付いているのだろう、とディスケは考える。彼は、アヴィーとカリーナの変化にはひたすらに敏感だ。
 ここまでの行程が描き上がったのをマルカブは確認して、カリーナを呼んだ。少女は振り返り、マルカブを見上げる。マルカブはカリーナを見下ろしつつ、
「お前、疲れてないか?寝不足か?」
「え?なんで?」
 カリーナはきょとん、としながら首を傾げた。無理をしている様子はないし、体調の問題でもなさそうだ。マルカブは「俺が心配なだけならいいんだけどさ。」と鼻の頭を掻いた。
「マルカブは心配性だよね。」
 カリーナはそう言いつつ、鉛筆をしまう。アヴィーは地図を丸めながら、「そうだよね。」と同意しつつ、
「・・・でも、カリーナ。なんだか、ちょっと元気ないよう?」
「そう?」
「元気がないのと違うのかなあ・・・。」
 アヴィーはうーん・・・と首を傾げる。一方のマルカブは何か思い当たることがある様子で、口を開き掛けたが、止めた。
 ディスケはそれを見ながら、マルカブの思い当たることを想像する。おそらく、シェリアクとマルカブの間の何らかのトラブル(それにについては、マルカブもシェリアクも詳しくは話さなかったが、ディスケとクー・シーには想像もできた。)を、カリーナはまだ気にしている・・・とかマルカブは思ってるんだろう、と想像する。
(・・・カリーナとしては複雑ではあるだろうけど、そうじゃない気がするんだよなあ・・・。)
 ディスケは、煙草の灰を携帯灰皿に落とす。
 エラキスは無事に目覚めて、今は治療院で安静にしている。彼女の目が覚めないと聞かされたときの・・・、そして、彼女の目が覚めたと聞かされたときのマルカブの表情を、カリーナはちらりと見上げたし、それは恋する少女には酷な表情だっただろう。しかし、今までもそんなことはあったのだ。カリーナも想いを伝える前から振られていることは理解している。(・・・と、ここまで考えて、「なんでうちのおとーさんみたいな男に惚れてるんだ、アイツ。」とディスケは軽く目眩を感じた。)切ない思いも抱くだろうが、探索中に集中しきれない程の気がかりは抱かない。・・・何故なら、それでも彼の隣にいられるのは自分とアヴィーだ、というのが彼女の幸せだからだ。(・・・と、ここまで考えて、「あー、いつかマルカブのことブン殴ろう。」とディスケは決意した。)想いが届かないことは、実際に隣にいられる幸福感に上書きされる。
 ・・・だから、彼女の気がかりの元は、・・・もっと別のことだ。
 そこまではディスケも分かるのだが、何なのか分からない。気になるのは、クー・シーだってカリーナの微かな変化に気付いているだろうに、何も言わないことだ。
(・・・・・・取り返しのつかないことにならなければいいけどな。)
 事故とかさ、とそんなことを考えるが、口にするのは怖いので黙っておく。まあ、気をつけて見ておくしかないだろうな、と思いながら、短くなった煙草を携帯灰皿に放り込む。
 スハイルが、カリーナにぴよぴよ!と声をかけていた。「今日はおかずが一品増えるピヨ!」と言ってる・・・らしい。スハイルなりに、いつもと違うカリーナを元気づけたいのだろう。カリーナは、楽しみだね、と笑ってスハイルを撫でた。いつもと同じ、カリーナだった。

 ――、後から、考えればの話だが。
 ディスケはこの時、薄々気がついていたのだ。カリーナが何を気にしているのかを。彼女が一人で抱え、クー・シーが何も言わず、ツィーも時々深刻そうな顔をし、カリーナの近くにいるはずのリョウガンの気配が時々消え、アヴィーの師匠が授業をしばらく休みにした・・・その全てのことを説明できる理由を、ディスケは考えればきっと導き出せただろう。
 それでも考えなかったのは、彼自身がその『理由』を否定したかったからだ。
 

*****


 その日の探索を終えて、宿に帰ってきたアヴィーは天文学の本を読んでいた。ふと、顔を上げて窓の外を見ると黄昏ていく空がある。夜空になるにはまだ早い、透き通った紺色の空だ。
 師匠であるベクルックスの授業がないので自習をしている。師匠は「探索と仲間と過ごす時間に使え。」と言って、授業を休みにした。姫を救うことに集中しろ、と言いたいのだろう、とアヴィーは理解しているが、姫と深王を救うためにも師匠の教えを受けて星術を強化したい。
「・・・僕の授業が休みになるのは分かるけど・・・なんでミモザにも同じことを言ったんだろ・・・。」
 先生はミモザが怪我をしたから探索を止めさせたいんじゃないのかなあ・・・と呟きながら首を傾げる。ミモザも父の教えが受けられないこと(と、アヴィーと一緒に授業を受けられないこと)に不満そうにしていたが、入院しているエラキスのそばに居たい気持ちもあるようで、彼女の病室に分厚い本を持ち込んでいる。
 なんだか最近、みんなちょっと変なんだよなあ・・・とアヴィーは首を傾げながら本に目を落とした。カリーナもなんだか元気がないような気がするし・・・とぶつぶつ呟く。
 鈍い鈍いと言われるアヴィーだが、全く気がつかないわけではない。相手の感情や気分には、人並みに気がつく。だからこそ、彼は気の優しい少年であるのだ。ただ、人の感情や気分の理由について、全く鈍いのだ。ミモザが怒っていることに気がつくが、ヤキモチを焼かれているからだ、とは気がつかないのは、そのいい例だ。
 だから、カリーナが元気のない理由には、アヴィーは気がつかない。クー・シーから話を聞いたベクルックスが「授業より、カリーナといる時間を長く持ってほしい」と考えて、授業を休みにしたことには気がつかない。その『理由』をカリーナを始めとする当事者たちが語らない限り、気がつかない。
 けれど、今のアヴィーにとって『理由』は問題ではなかった。重要なのはカリーナが元気がないことであり、大切なのは彼女が元気になることであり、必要なのは彼女が元気になるために自分には何ができるか考えることだ。
 アヴィーは視線を落とした本の中に「流星群」の文字を見つけた。ぱっと笑顔になる。
「・・・あ!・・・そろそろ流星群が見えるかな。カリーナは流れ星みたことないって言ってたし・・・、いつが極大なのか調べて教えてあげよう!」
 楽しみにしてたら元気になるよね!と言いながら、アヴィーはページを捲る。



 カリーナがフロレアルと約束をした『帰国』の日まで、あと19日。




(28章2話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

一行は、19階E-5伐採ポイントにいるようです。

アヴィーの言ってる「流星群」は水瓶座δ流星群だと思ってください。
6月後半(世界樹界では、虹竜ノ月の後半か白蛇ノ月の前半、か)
のつもりで書いてるので。

カウントダウン入りました。これから毎回入れていきます。
カリーナとクー爺ちゃんも毎日カウントダウンしてますのでご一緒にどうぞ。
もしかしたら「やっべ!日数合わない!」みたいなオチが待っているのではないか、
と正直ハラハラしてます。


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