まよらなブログ

29章3話。


「世界樹カンケーねえ!」な「世界樹の迷宮Ⅲ」妄想話です。


多分、31章で第一部は終了します。

で、第二部もそろそろちゃんと練らないとなと思ってるんですが
それ以上に、ゲームの裏ボス倒しにいかなくてはいけないような気もしてます。
4みたいに希少種狩りとか食事システムがあれば、面倒さも減るんですが
・・・・・・・・・毎日三回ペンギン道場、とか決めておけば、
本当の最終回を迎えるまでに裏ボス倒せますかね・・・・・・


それでは、興味のある方は「つづきを表示」からどうぞ。



29章3話
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 『アルゴー』と知り合って、決して長い時間が経ったわけでも、濃い時間を過ごしたわけでもないオリヒメだが、このギルドの人間がどういう人たちなのかは薄々分かっている。お人好しばかりで、全く切迫感もなく、仲間で一緒にいるのが楽しいから一緒にいる、という目的意識が無いギルドだ。目的意識はないものの、一度足をつっこんだら放り出す気もないので、彼らは五階層まで到達もするし、姫と兄王を元にも戻すし、フカビトの真祖に呼ばれるからには進もうともする。・・・つまり巻き込まれているのだが、まあ、お人好しなので仕方がない。
 その、緊張感のない雰囲気はどうなのか、とも思うし、技を磨くことを第一として生きてきたオリヒメは、『アルゴー』の持つのんびりした雰囲気は少々座りの悪い感じもするのだが・・・、探索に慣れないオリヒメをそれとなく気遣う彼らのことは好意的に受け取れるし、居心地のよさも感じる。まあ、やっていけるだろう、というやんわりとした確信を持ちながら、オリヒメは『アルゴー』とともに二階層から街へと帰ってきた。
「それでね、オリヒメね、二刀流でね、二本の刀でハイウォラスの牙を挟んで、こうね・・!やって、折ったんだよ!すごかったよう!」
「ぴぴぴえ、ぴよーー!」
 アヴィーとスハイルが、樹海の入り口で待っていたクー・シーに、オリヒメの戦いぶりを報告している。自分のことのように得意げで、興奮して身振り手振りが大きくなっている。その後ろ姿を見ながら、気恥ずかしさもオリヒメは感じる。
「それにね、すごく速いんだよう!マルカブと同じくらい速いよ!」
「ぴよ!ぴよーぴん、ぴぴぴーー!」
「ほうほう、そうかねそうかね。・・・スハイル、『おとーさんは、いらないピヨ!』なんて言っちゃだめだよ。」
「・・・・・・・・・、へえ?誰がいらないって?」
「ぴーーー!?」
 スハイルは、余計な一言をクー・シーに暴露され、慌てて飛び去った。とりあえず、マルカブは生意気な仔フクロウを追いかけた。
 アヴィーはくるっとオリヒメを振り返り、
「今度は、他の技も見せてね!オリヒメ!!」
「はあ。技は見せるものではないのですが・・・」
「僕、見たいよう!オリヒメの動き、すごく綺麗だもの!」
 ニコニコとアヴィーは邪気無く笑い、オリヒメは一瞬たじろいだ。ディスケとクー・シーが、「天然タラシだー。」「将来が心配だねえ。」と茶化し、アヴィーはそんな二人に「そんなつもりで言ったんじゃないよう!」と怒り出したが、二人は聞く耳も持たない。一層からかわれるアヴィーは地団駄を踏みながら、スハイルを捕まえたマルカブに向かって、
「マルカブ!おじいちゃんとディスケを叱って!」
「悪いなアヴィー。俺は今、スハイルを叱ることで手一杯だ。」
「ぴびーーーーッ!!」
 スハイルはマルカブに頭をわしっと掴まれ、ぎぎぎぎ・・・!!と力を込められている。スハイルはカリーナに助けを求めて、カリーナはマルカブに許してあげて、と頼みながら、
「スハイルも、『いらない』なんて言っちゃダメだよ。それは酷い言葉だよ。」
「ぴー・・・?」
「マルカブに、ごめんなさい、しよう?」
「・・・ぴよ。・・・ぴよーぴん、ぴえんぴぴぴ。」
 スハイルが渋々と謝罪をするので、マルカブは手を離す。スハイルはカリーナに飛びついて抱き上げてもらった。
「マルカブ!今度はこっち!」
 アヴィーが両手を振り回しながら、マルカブを呼ぶ。俺を呼んでもどうにもならねえだろ・・・とマルカブは呻きながらもアヴィーのところまで行き、ガキをからかうな、とディスケとクー・シーを小突いた。
 一連の様子を呆れつつ眺めていたオリヒメに、
「オリヒメ。・・・その・・・嫌になっちゃった?」
「ぴー?」
 カリーナがおずおずと問いかけ、スハイルが彼女と同じように首を傾げて問いかけた。オリヒメは、少し思案した後で、
「呆れていますが、嫌なわけではありません。」
「それなら・・・いいんだけど・・・。『アルゴー』って・・・変わってるみたいだから。」
「・・・まあ、確かに。冒険者らしくないような気もしますが・・・。」
「そうなんだけど・・・。でも、・・・いいギルドだよ?みんな優しいし、楽しいよ。」
「ぴよッ!!」
「それは否定しませんよ。」
 カリーナの主張とスハイルの力一杯の同意に、オリヒメが少し口調を柔らかくして答えると、カリーナはほっとしたような表情で、うん、と頷いた。オリヒメは少しだけ微笑んだ。
 カリーナは二階層の探索中も、ずっとオリヒメを気遣っていた。冒険や戦闘の疲れはないか、緊張はないか、ということもだが、『アルゴー』のメンバーとオリヒメが会話をするように連携できるように、と橋渡し役を買って出たようだった。そのため、カリーナ自身は一歩引いているようにも見えたのだ。オリヒメは、それはカリーナの優しさでもあり少女らしい気遣いでもあるのだろう、と理解して、感謝しつつも彼女の気遣いを甘んじて受けていた。彼女の優しさに応えるためにも、出来るだけ早く『アルゴー』に馴染もうと思う。
「カリーナ。貴女が大切に思っているギルドだということも、貴女を大切にしているギルドだということも分かっています。私も、『アルゴー』の・・・人柄というのでしょうか?ギルド柄というのか・・・そういったものは信頼しています。心配しなくても大丈夫ですよ。」
「うん。ありがとう。」
 カリーナも微笑んだ。
「私も、オリヒメになら安心して任せられるよ。オリヒメは強いし、嘘をついたりしないもの。」
「ぴよっ!」
 オリヒメは、ありがとうございます、と答えたが、カリーナが微笑みながらも泣いているようにも見えることが気になった。

 ――、後から、考えれば、の話だが。
 オリヒメはこの時、カリーナが泣いているようにも見えたことを、彼女に問いかけてみればよかったのだ。もしかしたら、彼女は本当に泣きだしたのかもしれなかった。どうして、一歩引くようにしてオリヒメと『アルゴー』を繋ごうとしたのか、泣きながら答えたかもしれなかった。オリヒメになら任せられる、という本当の意味を、教えてくれたのかもしれなかった。
 オリヒメはこの時、無邪気にも「カリーナとも仲良くやっていけるだろう。」と淡い期待も抱いていた。鍛錬や学問に追われ、オリヒメ自身のそっけない態度と打ち解けにくい性格が災いして、彼女は同年齢の友人が少ない。だから、カリーナと親しい仲になれることを、彼女はどこかで期待していたし、楽しみにもしていたのだ。
 オリヒメも、後から考えて、このときのカリーナの意図と覚悟に気付き――
 数日後、気付くことが遅すぎたことに気付くのだ。


*****

「ツィーも帰るつもりなのかね。」
「はい。」
 ツィーは荷物をこっそりとまとめ、港に停泊している船に載せていた。その船はカリーナの故郷からやってきた、彼女の迎えの船だ。そのツィーに再び質問の声がかかる。
「『ファクト』は了解したのかね?」
「はい。シェリアクさんとエラキスさんにはお話ししました。ミラさんとミモザさんとディアデムには・・・話していません。姫様が帰ることを二人が知ったら、きっと黙ってはいないでしょうし。」
「ディアデムには教えてもいいんじゃないかねえ?」
「ディアデムは『黙っていて。』といえば、黙っていますが。でも・・・ミラさんたちに言わないことを、ディアデムだけに言うことは出来ません。」
 ツィーは荷物(といっても、わずかな着替えぐらいなものだ。)を船室に置いて、船室の入口を振り返る。祖父と姫の忠臣がいた。
「爺様とリョウガンも、荷物を持ってきたんですか?」
「まあね。リョウガンは、フロレアル殿と打ち合わせだ。・・・その、」
「出航について、を。私が聞いたことを、姫にお伝えすることになっている。・・・姫には、打ち合わせなどで時間を使ってもらいたくはないからな。」
「ええ、同意見です。」
 ツィーは頷き、クー・シーはそんな孫娘に問いかけた。
「ツィー。姫は、お前の意志を優先させてほしい、と言っている。『ファクト』と別れたくないのなら、お前はここにいてもいいんだよ?」
「セイリアス様が・・・残りの時間を必死に生きてる中で、私一人が我儘を言うわけにもいきません。」
「そうしたら、おじいちゃまがお前の分まで頑張るけど。」
「爺様だって長くはないでしょうに。」
「おじいちゃま、姫のためにあと10年は生きるつもりになったんだけどな。」
「・・・それに、姫様が自分の使命を果たそうとお帰りになるのに、私だけ我が儘を言うわけにはいきません。」
「・・・そうなっちゃうんだよねえ。」
 クー・シーは肩を竦めた。リョウガンが、躊躇ったあとに、
「・・・姫は、その選択を喜ばないと思うが・・・」
 と、ツィーに告げ、
「・・・、分かってます!」
 と、ツィーは叫ぶように答えながら思い切りリョウガンを睨んだ。
「姫様はこの町で『アルゴー』の皆さんと共にいたいのです。だからこそ、姫様は私が『ファクト』といることを望んでもいます。でも、それでは・・・私は姫様と同じ場所に立てません!姫様は私を友人だと仰ってくださっているのですから、私は姫様と同じ場所に立ちたいです!」
 マイペースで激昂することなど滅多にないツィーの主張に、リョウガンよりも祖父であるクー・シーが驚いた。眉を上げて孫娘を見るクー・シーの隣で、リョウガンが落ち着いた声で聞く。
「・・・同じ場所で・・・?」
「・・・はい。」
 よっぽど感情が高ぶったのか、ツィーは瞼をぬぐってから、頷いた。
「姫様は、ご自分の使命を果たすつもりです。ですから、私も、自分の使命を果たしたいと思いました。そうでなかったら、私を友人だと言ってくださる姫様に、私は顔向けできるでしょうか?そして、私の使命はなんなのだろうか?そう、考えたんです。」
 ツィーは年の割に膨らみのない胸を押さえて、
「・・・私の使命は、己の使命を果たそうとする姫様をお側でお守りすることだと思ったんです。」
 ツィーはリョウガンをきっ!と見つめた。
「リョウガンとは違う方法で、です。私は姫様と同性ですし年も近いから、侍女としてお仕えして、日々の細々としたことをお手伝いしながら、寂しさから姫様をお守りしたいと思います。」
 敵意というかライバル視というか、張り合う視線を向けられて、リョウガンは何か言いたげに口を開いたが辞めた。年甲斐もない・・・とリョウガンが呟くのを聞いたクー・シーは、彼がツィーと張り合うつもりで何かを言い掛けたことに気が付き、苦笑した。
「しかし、ツィー。お前はセイリアスの臣下だよね?」
「はい。ですから、セイリアス様にお願いしようと思うのです。・・・姫様の臣下になることを認めてほしい、と。」
「・・・セイリアスの味方が減っていくな。」
 と、クー・シーは苦笑した。
「まあ、姫がセイリアスの味方になるつもりだから、結局、お前たちもセイリアスの味方なんだろうね。・・・そうやって、姫は人を繋ぐつもりで・・・」
 と、クー・シーは言葉を止めて、改めて微笑んだ。
「・・・姫は早速、己の理想を叶えているんだねえ。」
 それがせめての救いだね、と。


 カリーナがフロレアルと約束をした『帰国』の日まで、あと5日。



(29章4話に続く)

---------------あとがきのようなもの-------------------

なんとなく、唐突感のある話だな、と思いつつ。


敬語で話す女の子キャラが多いので、セリフの書き分けが出来てないような気がします。
ミラはお嬢様言葉で内容は辛辣、
ツィーは普通の敬語で内容はのんびりしてる、
オリヒメはかっちりした敬語で内容はそっけない、
というイメージではあるんですが。

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